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ピカレスクギャラリー企画展 「Tokyo Artist Book Fair2021」

「TABF2021」概要

開催期間:2021年6月5日(土)〜2021年8月29日(日)

開催場所:渋谷・Picaresque Art Gallery店頭・HP

展覧会テーマ:「作品集」

今回の展覧会テーマは「作品集」です。

じっくりと楽しめるように会期が長めになっていました。

作品集といっても画集、イラスト集、写真集から絵本や塗り絵本などなど……中身はさまざまです。

ページをめくるたびにその作家の作品や世界観に惹き込まれていく、この高揚感は本という形でしか味わえないと思うとものすごく特別な気がしてきます。

そんな一冊の作品集は、ある意味ひとつの作品のように濃密で誰かを感動させるものなのではないでしょうか。

物語を読んだときのように、絵画をみたときのように、感じて浮かんだ気持ちや、自分の知らない世界のことや人との新たな出会いを探して作品集を眺めるのも素敵なひとときです。

作品集と併せて、ハガキサイズの原画作品の展示もありました。

この展覧会で初めてピカレスクギャラリーさんの店頭に行きました。

自分の作品が展示してあるギャラリーの雰囲気を知りたいのと、他の方の作品を自分の目でみるのが楽しいので、なるべく期間中一回でもいいから現地に行きたいなと思うタイプです。

色々な内容や装丁の作品集にたくさん出会えて、絵の展示とはまた違った面白さを感じる空間だったなあと思います。

私が今回制作したのは『Floating』という画集と、ハガキサイズのイラスト「Balloon trip」という作品です。

先にハガキサイズイラストのことをお話しします。

ハガキサイズのイラスト「Balloon trip」はデジタルイラストソフトで描きました。

まんまるのうさが風船を持ってお空を旅しています。

デジタルイラストは原画がない、というかデータなので、出力したものの価値はどれほどあるのだろう?と考えたりします。

データがあれば印刷は何枚もできるし、出力した自分のデジタル作品にどう価値をつければいいのか考えていかないとだなぁと思っています。

紙にこだわるのもそうだし、紙以外に印刷する、印刷したものにまた手を加えてみる……いろいろありそうです。

印刷の技術も、どんどん進化していると思うので、自分の作品がより綺麗にみえるものを選びたいですね。

Balloon trip

画集『Floating』は、今まで制作してきたイラスト作品の中でも特にお気に入りの作品を収録した特別仕様の作品集になっています。

どういうところが特別仕様なのかというと、製本です。

せっかくなので高級感のある、見開きが180度フルフラットで開くハードカバー製本にしました。

見開きページでみせたい作品を、ホチキスの芯やノドで見えなくなるのがもったいないなと思っていたので、このような製本を選んでみました。

できれば、用紙はマット加工されたタイプが良かったのですが、あれこれ選べるところが見つからず、(金銭的にも)どれかを選ぶならどれかは諦めなければなりませんでした。

製本はフルフラットが絶対やりたかったのでそれを優先させ、用紙は光沢紙仕様になりました。

印刷も綺麗で製本もサイズも思い通りでしたが、紙だけ理想通りにいかなかったのが少し残念です。

ですがとっても素敵な画集ができたと思っています。

しかしお客様にとっては正直気軽に手が届く値段ではなかったと思います。

こだわりが詰まったものを作ろうとするとどうしても値段が上がってしまうことはご理解ください……。

いろいろと難しかったですが、画集を作ってよかったんじゃないかなと思います。

何年も経って見返したとき、自分の糧になったらいいな、なんて思いながら。

画集『Floating』

作品集というテーマと、デジタルイラストを描いた今回で、絵画・イラストと印刷技術や印刷物は密接に関係しているなと強く感じました。

アーティストとして自身のプロモーションを考えたとき、作品集やポストカード、チラシ、グッズなど、自身で描いた作品を印刷しなければならない場面はどこかで必ずあると思います。

そのときに印刷の知識が全くないままでは、せっかくの作品や作家自身の良さが上手く伝わらずもったいない思いをしてしまうのではないかなと思うのです。

だから、作品を描くこと以外にもそういったことも知っておいたほうがいいと思うし、自分で色々作ってみることも大事だなと思います。

私はこれまでにも何度かイラスト集をつくったことがあるのですが、本当に自分が納得できる本をつくるのはとても難しい、といつも出来上がってから思います。

いつか、本屋さんに並んでいてもおかしくない、自分のお気に入りの作品を収録した美麗で究極な本を一冊でもいいからつくることが私の夢のひとつです。

そのときのために、何回も失敗して、何回も悩みながら、描くこともつくることも続けていきたいです。

ずっと手元に残しておきたい、何回も眺めたい、そう思ってもらえる作品や本を生み出せたらとても嬉しく思います。

最後に、「Tokyo Artist Book Fair2021」をご覧くださった皆様、ギャラリースタッフの皆様、他の作家様方、本当にありがとうございました!

*「百花繚乱 HERO展」の全作品をこちらからご覧いただけます。(通販購入は終了しています)